幻水小説感想9
短篇集3の「消えない足跡」地図職人テンプルトンのお話です。
年のわりに大人びていて地図の事以外は興味が薄そうなテンプルトンが、歳相応に親しくなった人間を心配したり、表に出さない痛みや不安を抱えているのが描かれていて、このお話しを読む前よりもずっとテンプルトンというキャラクターに親近感が湧きました。
測量の方法や地図職人なりのモンスターの撒き方なんかが書かれていたのも、物語に深みを与えるスパイスになっていたと思います。派手な戦闘などに関わるキャラクターではないけれど、こういった戦争の本流から隠れた普通の人々の物語も、幻水のストーリーなんですよね。
地図職人という職業上、いつ何処に居てもおかしくないキャラクターなんだと気付いたので、このお話を読んだらなんだかテンプルトンの話を書きたくなっちゃいました。