雑記

北方水滸伝十一巻 感想

前回の呼延灼戦で、初めて大きな敗北を味わった梁山泊。結果的には勝利して有力な将軍を迎える事は出来たものの、負け戦が好漢たちに与えた影響はどうやら大きかったようです。
ある者は死の身近さを悟り暗殺者の道へ。またある者は、死への恐怖を味わい怯えてしまった兵に寄り添い、再起させうる良き指揮官へ。それぞれの道への転身見せてくれます。
そして後半は、天魁星宋江と並び立つ梁山泊のトップ晁蓋が退場。
とは言うものの、何と言いますかコレについてはイベント感が強いというか…
これまで死ぬ死ぬ詐欺もありましたし、もっと早く退場するのかとすら思っていたので薄情ながら正直な印象としては「やっと(ノルマをクリアしたの)か」と思ってしまったのでした。
たしかに重要な人物ではあるのですが、宋江との意見の対立が明確になってしまっていた中で、頭領が一人に絞られる展開は組織としては一枚板になるチャンスにもなりそうです。晁蓋の敵討ちという共通の決意も掲げられますし。
それよりもこの巻は、日陰者の「暗殺者」の心の動きを丁寧に追っていたのが面白かったです。一人の部下の死に拘り続けた男が暗殺を仕事と割り切って行うようになったり。晁蓋を殺した暗殺者の、晁蓋の魅力に惹かれつつもその光を汚したいと願う心の動きとか。日常や志と相反する存在である彼等の中にも、人の心のゆらぎが存在する。それを書くことによって、本来は理解しがたい役柄の者にも共感出来る部分がある事を筆者は表現したかったのではないかと思います。
あ、あと長らく男所帯だった梁山泊に、ようやくラブの嵐が到来!
気の強い美女扈三娘が加入した事で、晁蓋と扈三娘と王英の間に三角関係が…!!
私は健気に扈三娘を助ける王英を応援しているので、最大のライバル晁蓋が居なくなった次の巻は王英チャンスタイムが発生するんじゃないかとみています。しかし扈三娘は思いも伝えないまま相手を失ってしまったわけで、傷心具合は計り知れません。どうなっちゃうの〜
もう王英にしちゃいなよYOU
公淑さんもロクデナシの宋江をスルーして、実直な秦明にしておいて正解だったんだから…!

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